土地の古老の伝えに、丹生社の鳥居が洪水によって流されてきたので、それを拾って神体として祀ったのが創祀であるという。 丹生川が標式的曲線をなし、西流から北流にUターンし堆積して平地となつた長谷集落のほぼ中央に位置し、古木の繁つた標高330mの丹生山を背に鎭まる。 本殿は回廊で結ばれた一段高いところにあり近寄れない。 この神社の一の鳥居は大淀町今木に、二の鳥居は下市町善城に、三の鳥居は広橋にあったと云われる。 幕末に当社の神官橋本若狭が天誅組に参加したため、幕府側に火をかけられ社殿が焼失した。 本殿背後の丹生山(宮山)山頂の平坦地東寄りに古代祭祀跡とおぼしく、長径30cm、短径15cm大の丹生川岸にある緑泥片岩、又は自然石26個で囲まれた3.3mに2.3mの矩形の石群が遺っている。 |
丹生川上神社共通 天武天皇3年(674)「人境を隔てたる深山に我を祭らば、天下の為に甘雨を降らしめ、霖雨を止めん」との神勅ありて奉幣されたに始まる。世に丹生川上雨師の神と称し、祈雨には黒馬、止雨には白馬(後世赤馬)を献じた。 式内二十二社の第二十一位として朝廷の尊崇が篤かつた。 延喜の制で名神大社として四時祭の官幣に預かる。 淳仁天皇から応仁の乱に至るまで歴世神祇官差遣の上、奉幣祈願された事は実に九十六回に及ぶ。 これほどの名社も、応仁の乱以後、たとえば『親長卿記』明応5年(1496)には既に祈雨奉幣のための資力がないというような記事があり、丹生川上神社そのものの所在すら消息を失ってしまった。明治4年(1871)に至り、丹生大明神社(現下社)を官幣大社丹生川上神社としたが、これに対して寛平7年の太政官符にのる四至に適合しない、としてむしろ現上社をあてるべきとする『大日本史』に従い、同7年、高神社を官幣大社丹生川上神社奥宮とした。が、これにも異義の生ずるところとなり、同29年、丹生川上神社を下社、奥宮を上社とした。さらに東吉野村の蟻通神社が、その社辺をとおる高見川を古代の丹生川であるとして請願したことからこれを中社と認定するに至り、大正11に現在の中社を加え3社を一括して官幣大社丹生川上神社とする事になった。 このとき中社の祭神を罔象女神、上社を罔象女神から高お神へ、下社は高お神から闇お神へ改められた。 昭和27年、3社はそれぞれ独立した。 |
丹生川上神社下社 御祭神 闇お神(クラオカミの神) 御神徳 万物生成化育の根源たる、水を主宰遊ばされ、地球上のありとあらゆる物象の上に、はかり知れない恩恵を垂れ給い守護あらせられる。 御例祭 六月の一日(秋の大祭は十月十四日) 御社格 延喜式の名神大社、元官幣大社。 御本殿 総桧の流れ造り、屋根銅板葺きで建坪七・三一坪。 御神域 約五千坪樹令五百年の老杉をはじめ、槻、樫、椎等の巨樹を以て覆われ森厳そのもので身心共に浄まる。 由緒沿革の概要 御祭神は、いざなぎ、いざなみの大神のみ子神であらせられ、天武天皇の白鳳四年に「人聲ノ聞エザル深山ニ吾ガ宮柱ヲ立テテ敬祀セバ天下ノタメニ甘雨ヲ降ラシ霖雨を止メム」との御神誨に因り創立された古社であるから、歴朝の御尊崇極めて篤く、續日本紀に「天平宝字七年五月夷午丹生川上ノ神ニハ帛幣(へいはく)ノ外特ニ黒毛ノ馬ヲ奉ル」と見え、この後は祈雨には黒馬を、祈晴には白馬を幣帛に添えて献ずることを恒例と遊ばされて居り、醍醐天皇の延喜の制では名神(ミョウジン)大社として案上の官幣に預かり、ついで二十二社の一(全国の大社中の特別尊貴な神社)に列し給い明治の新政に及ぶ。また別に神階正一位に進ませられ、爾後たびたびの奉幣をお続けになり、孝明天皇は安政元年に「外患恨服、国家清平」の御祈祷を仰せつけられ(御綸旨現存)文久二年には晨くも銀二十枚、米三十石を御下賜相成り(御沙汰書現存)続いて明治天皇もその四年に官幣大社に御治定仰せ出だされ、初代大宮司に松岡尚嘉を小宮司に江藤正澄を補佐せられて以来昭和二十一年までお使いとして高官を参向せしめて、大祭、臨時大祭を厳重に斎行されて来たが、その後神社制度の変革に依り宗教法人の神社となって今日に及んでいる。 全国神社祭祀祭礼総合調査 神社本庁 平成7年 |
丹生川上神社下社由緒 御祭神 闇お神(クラオカミノカミ) いざなぎ、いざなみ 二尊の御子神 御創建 天武天皇白鳳四年(676)「人声の聞えざる深山に宮柱を立祭祀せば天下のために甘雨を降らし、霖雨を止めむ」との御神託に因り創建された古社である。 御例祭 六月一日 御神格 延喜式の名神大社二+二社の一社 元官幣大社明治4年列格 御鎮座地 丹生川の川上丹生山 神武天皇御東征の途御親祭遊ばされた地である。 朝廷の尊崇 天平宝字7年(763)幣帛の外.特に黒毛の馬を奉献される。その後祈雨には黒馬、祈晴には白馬を献ずることが恒例とされた。 孝明天皇安政元年(1854)に「外患具服国家清平」の祈祷を仰付けられた。 御神徳 大気を浄化し、万物生成化育の根源たる水を主宰遊ばされ、地球上のありとあらゆる物象上にはかり知れない恩恵を垂れ給い、守護あらせられるいのちの神様である。 社頭掲示板 |