堤治神社
つつみはりじんじゃ 所在地 社名















   【延喜式神名帳】堤治神社 尾張国 中島郡鎮座

   【現社名】堤治神社
   【住所】愛知県一宮市小信中島宮浦 780-1
       北緯35度19分12秒,東経136度44分39秒
   【祭神】埴安姫神
       社名から考えて、祭神は堤防守護の神と思われる

   【例祭】10月9日 例祭
   【社格】旧県社
   【由緒】景雲3年(706)尾張国海部中島二郡大水『続日本紀』
       文禄3年(1594)豊臣秀吉釣燈籠を献進
       慶長14年(1609)伊奈備前守忠次亦堤防修築
       慶安3年9月所謂やろか水なる大洪水
       明治30年9月現在の社名に復す
       昭和16年県社に昇格

   【関係氏族】
   【鎮座地】度々の河川氾濫で本来の所在不詳

   【祭祀対象】堤防守護
   【祭祀】江戸時代は「神明宮」と称していた
   【公式HP】 堤治神社
   【社殿】本殿
       拝殿・参集殿・社務所・橋

   【境内社】子安神社・招福稲荷神社・秋葉神社

木曽川東岸に接している。大きな堤防のすぐ下に神社がある。
社域は広くないが整備されている。
景雲3年(706)に当地に大洪水が起こり、その堤防鎮守の守護神として埴安姫神を勧請したのが始まりとされる。
この地はたびたび洪水があり、河道変遷の歴史を考えると、式内堤治神社の本来の所在地は未詳である。
堤防守護の神として祀られたと思われる。
江戸時代初期には神明社と称え、その中期より堤治神社に復し、明治初年堤治神明社と称し、更に明治30年9月現在の社号に復旧した。


堤治神社

御鎮座は、濃尾平野の中心地にて、尾張・美濃・を区分する日本三大河川の一つに数えられる。延々と続く木曽川の大堤防上に鎮座まします古社にして、延喜式に尾張国中島郡・堤治神社として、官社に列せられ、我が国の神名帳に、従三位堤治天神と挙げられ給う。御社号を延喜式・並びに全国神名帳には「ツツミヂ」・特選神名牒には「ツツミハリ」と訓まれている。 
御祭神は、埴安姫神・又埴山姫と申し、伊邪那美命が火の神・軻遇突知神を生み給ひて神去り給はんとせし時に、水の神・罔象女神と共に生まれ給える、土の神に座します。 土にて造る器物(古くはハニワ・ハにニと呼ばれている器物)は始め全ての産物を生ずる、山野田園を司り給う神であり、御子に五穀養蠶の祖神・雅産霊神が在らせられる、(雅産霊神は、伊勢神宮の外宮に奉斎せられている、豊受姫神の御母神であり、したがって埴安姫神の御孫神に当たるので在る。
 此の尾張の地たるや、往古既に農耕の地にて住民業務に励みしも開けに開けず、古来木曽川の氾濫は常に住民を脅かしたる事は史書に依りても明白なり。景雲以来、その災害の数を挙げても数え難し、故をもってその堤防の中心の地に、木曽川全堤防の鎮守として土の神・埴安姫神を奉斎し、堤治神社と称え奉るなり。
尾張神名帳集説(訂定追考) 近藤利昌白く
尾張宿(起)・富田村等の氏神を、堤天神と言う古伝あり。一説に小信村の神明社と言うは非なり。 美濃五反郷に富田越しの民あり、其の家の系図に吾が氏神は堤天神なりという文があり。 
出口延経白く  続紀に白く、第四十二代 文武天皇の慶雲3年丙午(西暦706年)尾張国の海部・中島の二郡に大水云々とあり、此の時に堤防鎮護の守護神として、此の神を祀るとある。
現在の豊饒なる尾張平野の産業を擁護あらせられるは、傭えに御神徳によるものと言うべし、故をもって延喜式には神祇官の奉斎を受けさせ給ひしと伝う。中古の尊崇は戦乱の為、今日その記録を欠くとも言えども、文政六年に境内地揚げの際・社殿の地下より出土せし、平安朝時代の神鏡(壱面は瑞花雙鸞八綾鏡)・神酒壷を始め、鎌倉時代の巨匠と言われた運慶の作と言ひ伝わる、高麗狗等今尚現存し往時の尊崇を推想し、奉るに余りある。
降つては、豊臣秀吉公(文禄3年)・伊奈備前守忠次公(慶長13年)等大堤防改築の際、各々当神社に祈願し、完成なるや秀吉公には、五三の桐透かしある鋳銅の鉤燈篭を、伊奈備前守には、兼高の短刀壱振りを奉納し、報賽の誠を捧げしと伝う、宝物として現存する。
慶安3年9月に前代未聞の大洪水あり、俗にこれをヤロカ水と称し・尾張藩内は流言蜚語が街街・村々に満ち人心正に戦怯たり、尾張藩主・徳川光友公には、当神社に水災除去・堤防鎮護・藩内平安の祈願を仰せつけられ、金城鎮護の浄砂壱握りを三つ葉葵の紋付きの白木唐櫃に納め・刀壱振りを相添え奉納せられる。以後毎年・入梅の日に水災除去祈願祭を斎行し現在に至るも継承している。 又・貞享四年・元禄三年と再度に渡り洪水ありしに依りて、御一代に数度にわたる大水を遺憾とされて常夜燈を壱基奉納せらる、宝物として現存する。天保8年・藩主徳川斉温公には自ら筆わ染められて「満歳緑毛亀」の軸を。更に御分家の高須少将義建公には、親しく当社に詣で染め筆せられ「栖神法窟」の額面を奉納せられ、各々其の至誠を顕わさる。
斯の如く由緒深く・崇敬の心篤き者多きにより、明治に至り、尾張国の一宮・真清田神社の境外末社たるを遺憾として、独立し村社に列せられ給ひしが、近年昭和16年(皇紀・紀元2600年を記念し)村社より県社に昇格せられる。(当時の社格は、官幣・国幣・県社・郷社・指定村社・村社)氏子・並びに遠近の崇敬者は、水災除去・堤防鎮護・五穀豊穣・産業発展・長寿健康・出逢縁結・家族相和・住民和楽は、遍へに当神社の御祭神の御神徳・御神威の御加護に外ならない。

公式HP



堤治神社

初め堤治神社と称したが、江戸時代初期には神明社と称へ、その中期より更に堤治神社に復し、明治初年堤治神明社と称し、更に明治30年9月現在の社號に復旧した。嘗て文政6年9月境内地揚げの際平安朝時代の瑞花双驚八稜鏡並同時代の大形神酒壺、行基焼皿等を出土し、更に鎌倉時代の木彫大高麗狗を保存する等、神社の古さと、往古神殿の廣大さを物語るものがあり、降つて文禄3年豊臣秀吉は、木曾川の築堤に際して五三の桐を透彫せる銅製の釣燈籠を献進して神慮を慰さめ、慶長14年伊奈備前守忠次亦堤防修築に當り、水に蛇籠の拵ある象高作有銘の短刀を献じ、更に慶安3年9月の所謂やろか水なる大洪水には、藩主徳川光友、金城鎭護の浄砂並水に昇天龍を高彫したる光行の脇差一腰を、葵金紋付白木唐櫃に納めて神献し以て神慮を慰さめ、尚元緑3年9月高雅なる石燈籠一基を奏納せられた。故を以て以來木曾川名産の櫻鯰を年々献じ、その都度御初穂料を賜はるを例とし以て明治維新に至つた。今尚當時の葵金紋付魚桶を保存する。降つて天保8年水無月當神社下木曾川に泳ぎ着いた稀代の巨亀を献上した爲、時の藩主徳川齊温は『萬歳緑毛亀』の染筆を賜はつた。更に藩の分家濃州高須第十世松平摂津守義建は、弘化5年正月13日鷹狩の途衣當社に詣し、帰館後水神に縁ある語『栖神法窟』の額面を染筆し献納せらる等、今尚是等の神宝を保存し、以來近代の貴神並武門武將等の崇敬他に異なるものがある。

起町史



提治神社の御由緒

由緒 当社は木曽川堤防の中心に鎮座まします古社にして延喜式には尾張国中島郡提治神社として官社に列せられ、神名帳には従三位提治天神と挙げられ給う。御社号を延喜式並びに神名帳には「ツツミヂ」特選神名帳は「ツツミハリ」と詠まれている。
御祭神の埴安姫神は土の神にまします。土にて造る器物を始め全ての産物を生ずる山野を司り給う御神にして御子には五穀養蚕の祖神たる稚産霊神あらせられる。
創建は明らかでないが、尾張国■■帳集説に第42代文武天皇の慶雲3年(706)尾張国の海部中島の二郡に大水あり此の時堤防鎮護の守護神として神を祀ると記す。
昭和16年県社に昇格せらる。

社頭掲示板



一宮市指定文化財

堤治神社 彫刻 木造狛犬(吽形) 一躯
像高 41.8cm
昭和46年10月12日指定
鎌倉時代の桧づくりの狛犬で、社伝によれば、大仏師職六世法印運慶の作といわれている。
工芸 瑞花双鸞八稜鏡 一面
径11.2cm
昭和41年9月12日措定
平安時代の代表的な鏡で、八稜形の鏡は、主に社寺の式制調度に見られる。青銅製。
工芸 瓶子 一口
高29.1cm
昭和46年10月12日指定
灰釉陶器で、中国宋代の梅瓶の形式を写して鎌倉時代後期に瀬戸で焼かれたもの。
書跡・典籍 木彫板額「栖神法窟」 一面
65.2cm×150.5cm
昭和46年10月12日指定
尾張藩の支藩、高須藩(岐阜県海津市)藩主十世の松平義建が、弘化5年(1848)正月13日に堤治神社に参詣し、後日染筆を献納したものと、その墨跡を板額に彫ったものを名古屋の講中が寄進したもの。
一宮市教育委員会

社頭掲示板



堤治神社

堤治は都々美波利と訓べし、(考証に、按治■也と云り、■訓ツゝミチとあれど、余りふさはしかられば今此に從ふ、)〇祭神水神河神の類か○荒木庄小信村に在す、(考証)
続日本紀、神護景震3年9月壬申、尾張國言、此国與美濃國界、有鵜沼川、今年大水、其流没道、毎日侵損葉栗、中島、海部、三郡百姓田宅云々、三代實録、貞観7年12月27日甲戊、尾張國言、昔廣野河流、向美濃國、当于斯時、百姓無害、而頃年河口擁塞、総落此国、毎遭雨水、動被巨害、望請、堀開河口、令趣旧流、太政官処分、依請、」同8年7月9日辛亥、先是尾張國言、奉太政官処分、堀開廣野河口、令趣旧流云々、連胤按るに、此川の堤の守りと坐すなるべし、集説在所を挙ず、張州府志、里老傳云、慶長年中田中内記建之、然則以為堤治神社、則附曾云説也と云り、
神位
国内神名帳云、從三位堤治天神、

神社覈録



尾張国INDEXへ        TOPページへ


学校データ