みまなひこじんじゃ
|
当社は穴水郡三十六か村の大社として人々の厚い信仰を受けてきたが、天正年間に（４００年前）に越後の上杉謙信が能登国に乱入し、穴水城や当社などに放火し、社殿や宝物などを焼失した。 それ以前は美麻奈比古神社（北宮本宮＝現在地）・美麻奈比咩神社（二十九日地区）の２社があった。 |
|
由緒 美麻奈比古神社の由緒 穴水町の総鎮守として穴水低地の鬼門にあたる字川島通称白山に鎮座。 美麻奈比古神・美麻奈比咩神・白山神などを祀る。 ３神は天正８年（1580）の社殿再興のおりに同殿としたもので、美麻奈比咩神社は現社地（北宮本宮）の南、二十九日地区に、白山神社は穴水城内に所在した。 穴水をミマナと訓じ穴水白山宮、能登国津神宮とも称した。 荒魂は西方の穴水堂権現であり、寛政８年（1796）にその井戸底から菊花散らし文鏡が発見されている。 美麻奈比古神・美麻奈比咩神は「延喜式」鳳至郡所載の小社であるが、古代の穴水駅が能登郡であるところから旧社地の所在をめぐって諸説がある。 しかし郡境を小又川ないし山王川とすれば、その北は鳳至郡であり矛盾はなく、境内には平安期の須恵器も散布している。 天治・永治（1124～1141）のころには崇徳天皇の勅願所として勅使が下向したと伝え、そのおりに遣わされた梅樹（崇徳梅）が現存している。 中世では応永４年（1427）に長谷部忠信が大般若経を奉納している。 社僧も多く北八坊、南八坊の十六坊（惣号川島寺）が存在したが、天正５年（1577）の上杉勢の浸入により衆徒は離散した。 近世では穴水郷36ケ村の総社として崇敬され、総持寺からも明和８年（1771）に朱漆塗瓶子一対が奉納されている。 春祭りは（４月18日）「お頭祭り」ともよばれ、古くは36カ村より頭人が選出され、厳重な潔斎のうえ種々の神事が執行された。 お頭は昭和40年代まで川島区４人一組でおこなわれたが現在は中断している。 しかし祭礼は乙ケ崎海岸の火宮神社で神迎えをし、乙ケ崎区の獅子舞が先導する古い形を現在も継承している。 元禄７年（1694）以降のお頭帳が現存し、当（頭）屋祭研究の重要史料となっている。 また新たに氏子入りした花嫁が参拝する「ゲンゾ」参りも著名。 秋祭り（９月15日）は能登では珍しく、キリコと三車15台ほどが入り乱れて秋の夜に競演する。 なお昭和30年代まで美麻奈比咩神社の旧社地である二十九日地区において、鎮火祭・茅の輪くぐりの神事（６月30日）がおこなわれた。 全国神社祭祀祭礼総合調査 神社本庁 平成７年 |
|
美麻奈比古神社 崇徳梅によせて 延喜式内杜である美麻奈比古・白山神社は古くより穴水郷の総社として崇敬を集め、能登の国津神宮ともよぱれた。県内最古(平安時代中期)の御神像を有することからも、その由緒の古さが知られる。 かって当社神木の一つに崇徳梅または勅使梅と呼ぶ崇徳天皇（１１１９－６４）勅栽の梅樹があった。永代変わらず咲き匂う梅に、後年文人たちが和歌や俳諧をよせている。社殿修復を祈念してその二首を歌碑とした。 埴置きし君がむかしにいまも猶 春をわすれずにほぶ梅が香 吉田兼敬 梅の花いまもかはらすさきにはふ いくももとせのしもはふれとも 吉田兼雄 吉田兼敬・兼雄は神祇管領長上・吉田家当主。 ともに学問をよくし、兼敬（１６５３－１７３１）は神道界における宗家の地位を獲立、歌人としても知られた。兼雄（１７０５－８７）は唯一神道の拡大に努め、日本書紀をはじめとする神道書の注釈を行うなど、近世吉田家中興の人でもある。 平成７年２月吉日 解題 権宮司 四柳嘉章 社頭石碑 |
|
美麻奈比古神社 本社ハ創立ノ年代詳ナラズト雖モ、延喜ノ制小社二列セラレ、能登國鳳至郡式内九座中ノ美麻奈比古神社・美麻奈比咩神社ハ是ナリ下云フ、天正年中上杉謙信當國へ侵入ノ際、兵災二羅り美麻奈比咩神社焼失シ、美麻奈比古神社二奉遷スト謂ヒ、比咩神社旧跡今明二存ス(能登名跡志)祭神菊理媛神ハ元独立ノ神社タル白山神社ニ奉齋サレシモ、同神社ハ元長谷部信連穴水城山二居城ノ節城山二勧請セラレ、後兵災二罹リ終二美麻奈比古神社二同殿ヲ奉遷セリト云フ、天正８年１０月２日長九郎左ヱ門連龍社殿ヲ造営シ、美麻奈白山トシテ一社二合祀ス、長家代々ノ鎭守ニシテ崇敬篤ク神宝・神領等ノ寄進アリ、社殿ヨリ八九間西方二勅使殿ノ旧趾アリ、天治永治ノ頃マデ三年力四年ニ一度勅使参向ノ由傳フ、崇徳帝ノ勅有リテ植ヱサセ給フ神木トシテ勅梅或ハ崇徳梅トモ謂フ有リ、社殿西方一町余リノ処穴中ヨリ清泉湧出ス之ヲ穴水ト云フ(俗二此地ヲ穴水堂ト称ス)往古ヨリ穴水郷三十六ケ村ニテ祭儀ヲ行ヒシモ、享保年中二至り四民群参シ、爲二負傷者生ジ遂二之ヲ廃シ、爾後大町村等三ケ村二奉仕スルコトトナシ、慶応年中ヨリ大町村ヲ割キ維新以後乙ケ崎村外四ケ村ヲ以テ例祭ヲ執行ス、明治１２年９月２日郷社二列セラレ、同４１年４月８日神饌幣帛料供進神社二指定セラル、大正元年８月２４日無格社稻荷神社、幸神塚神社ヲ合併スルノ許可ヲ得テ同１０月西日之ヲ合祀ス。 神社明細帳 |
|
美麻奈比古神社 長谷部忠信が大般若経を奉納している。社僧も多く北八坊、南八坊の十六坊（惣号川島寺）が存在したが、天正５年（１５７７）の上杉勢の浸入により衆徒は離散した。近世では穴水郷３６ケ村の総社として崇敬され、総持寺からも明和８年（１７７１）に朱漆塗瓶子一対が奉納されている。春祭りは（４月１８日）「お頭祭り」ともよばれ、古くは３６カ村より頭人が選出され、厳重な潔斎のうえ種々の神事が執行された。お頭は昭和４０年代まで川島区４人一組でおこなわれたが現在は中断している。しかし祭礼は乙ケ崎海岸の火宮神社で神迎えをし、乙ケ崎区の獅子舞が先導する古い形を現在も継承している。元禄７年（１６９４）以降のお頭帳が現存し、当（頭）屋祭研究の重要史料となっている。また新たに氏子入りした花嫁が参拝する「ゲンゾ」参りも著名。秋祭り（９月１５日）は能登では珍しく、キリコと山車１５台ほどが入り乱れて秋の夜に競演する。なお昭和３０年代まで美麻奈比咩神社の旧社地である二十九日地区において、鎮火祭・茅の輪くぐりの神事（６月３０日）がおこなわれた。 社頭掲示板 |
