出雲国風土記の「多倍社」に相当する。 須佐之男の八俣大蛇退治の剣の神霊を祀る。 本殿後側に接して「首岩」と称する巨巖が屹立している。伝説では須佐之男命が鬼神を退治してその首を埋めた処といい、これに触れると血がつくと恐れられ、玉垣で囲い注連を張り廻らしている。また本社後方山上には多数の巨岩があり、それぞれに名称が付けられ、いかにも霊岩たるの観を示している。 古来、須佐神社の摂社であつたが、明治維新の際独立した。 |
多倍神社 多倍神社(元県社)御由緒 1.祭神 須佐之男命 「棟札」に須佐之男命 八岐大蛇を斬り玉うた剣の御神霊を祭る。故に里人剣明神という。 このお宮は大変古い神社で1300年前にすでに国の神祇官という役所の神社名簿に多倍社として記されていた「官社」であります。 「式内社」と申しますのは、これ又1100年前につくられた「延喜式」という国の書物にも「小社多倍神社」として記載されていますので延喜式の内に記されている神社で式内社と申します。 2.合祀の神々 宇佐八幡(高櫓八幡) 明治6年6月合祀 石清水八幡 明治40年7月合祀 河内神社 同 湯村神社 同 以上4社9柱の神々を合祀して今日に至る。 3.社殿 大社造りの変態 明治20年新造、七尺(2,2m)四方、四方に廻り縁勾欄をめぐらす。階は本殿の中央に設け御拝をつくる。この様式が大社造りの変態といわれる由縁である。 4.境内末社 1.稲荷社 倉稲魂命 農工商の守護 2.厳島社 市杵島比売命 海運の神 3.随神門 左右に兵仗を帯びた二体の神像を安置せる門。左神=豊磐門戸命(矢大臣)右神=奇磐戸門命(左大臣) 5.伝説「首岩」について 御本社のま後に玉垣をめぐらした二つの大岩をいう。直径約4m高さ2.5m厚さ1.2mの岩が倒れかかるように重なっている。「社説」によるとこの神社より北方500mの所に怪岩奇嶂あり「鬼の窟」という。(自由観光歩道が通ずる)天井岩、千畳岩、腰のし岩、地獄岩等ありて往古鬼共の住める巣窟であった。この鬼の大将を多倍神社の祭神須佐之男命が退治したまい、その首を埋めその蓋になさったという岩がこの首岩であると。 私たちの先住民族の間には、奇岩、怪石又は神秘なことが現れたりする大木、山岳、瀧等々神が宿るとしてこれを信仰の対象として祀る風習があった。この首岩も石神信仰の一つとして始めはこの岩が多倍神社の御神体として崇敬されていたのではなかったかと言われている。 社頭掲示板 |