阿太賀都健御熊命神社
あだかつたけみくまのみことじんじゃ 所在地 社名















   【延喜式神名帳】阿太賀都健御熊命神社 因幡国 高草郡鎮座

   【現社名】阿太賀都健御熊命神社
   【住所】鳥取県鳥取市御熊612
       北緯35度29分40秒、東経134度6分1秒
   【祭神】御熊命 (配祀)保食神 木花開耶姫命
   【例祭】4月不定期 例大祭
   【社格】旧村社
   【由緒】創祀年代は不詳である
       貞観7年(865)6月8日従五位下
       明和6年(1769)柱大明神と称
       寛政7年(1795)阿太賀都健御熊命の神社と称
       明治4年村社

   【関係氏族】
   【鎮座地】移転の有無不詳

   【祭祀対象】
   【祭祀】江戸時代は「柱大明神」「三藏社」と称していた
   【社殿】本殿流造
       参籠所

   【境内社】

祭神・御熊命は、天穂日命の子。
 日本書紀によれば、葦原中国平定のため、派遣された天穂日命が、三年経っても帰ってこないので、その子の大背飯三熊大人(おおそびのみくまのうし)、別名・武三熊之大人(たけみくまのうし)を遣わしたがこれも、父神同様、帰って来なかったとある。
 その、大背飯三熊大人(おおそびのみくまのうし)が、当社祭神である御熊命。


阿太賀都健御熊命神社

鳥取市指定文化財
御熊神社 玄武岩柱状節理
昭和49年4月4日指定
 御熊神社社殿一帯にみられる玄武岩は、径約五十センチ、長さ百五十〜二百センチの六角状の玄武岩で形成されており、その数量及び範囲については確かなところ不明である。社殿への参道階段や民家の石垣などにはこれらの玄武岩が多く利用されている。
 玄武岩の産地は市内にもみられるが、そのほとんどが縦型柱状節理のものであって、当御熊神社にみられる横型柱状のものは珍しいものである。

社頭掲示板



阿太賀都健御熊命神社

延喜式所載の神社なり、三代実録巻十一貞観7年6月の條に「八日丁己因幡国無位阿太賀都健御熊命神 中略 授従五位下かー」と記して略して御熊神社と称す、又因幡誌に「御熊の神社、村より神楽堂へ一町、其より石階あり凡そ八十段皆材木の如き自然石にて険阻に積み上げたれば容易くは登り難し、其上に平地あって神廟を安ず 中略 其側に奇石あり、細く長く大さ屋宇の柱梁の劉成せるが如く積みて山岳をなせり、土俗柱大明神と云ふ、相伝ふ此神石橋を作り、隠岐国へ架渡さんとて一夜に造り立てんとし、俄に夜明けて事成らず捨置き給ふ趾と云伝ふ、葛城の一言主神の故事に髣髴たり、凡此山の尾続き彼の隠岐国へ橋掛給はんと、杖衝坂の鼻まで五十町許の間、土中皆此の石の柱なりと云へり、天工絶異の境地と云ふべし」と載せ又本社の付近には鍛冶殿社ありこの神石柱造り給ふ時、鉄を鍛へ給ひし處なりと伝ふ、総て此の辺を鍛冶屋谷と称す、この他細工谷若しくは石屑谷等称する地名ありて、石の削屑積みて山を為す、蓋し此等地名によりても祭神の遺徳を窺ふに足るべし、明治元年天目一箇神、保食神を合祀し、同年4年村社に列格せらる、降って大正3年9月17日末恒村大字内海中字南田鎮座無格社山田神社(祭神 木花開耶姫命)を合祀す。

鳥取県神社誌



御熊神社の玄武岩柱状節理

【横倒し重なる岩柱】
◆柱大明神と天の邪鬼伝説も
 鳥取市の白兎海岸から延びる谷底平野を南へ進むと、御熊という集落があります。この集落の奥に御熊神社、正式には阿太賀都健御熊命(あたかつたけみくまのみこと)神社という格式の高い神社があります。この社殿の背後一帯では、柱状の玄武岩が累々と横倒しに積み重なった珍しい地質現象が見られます。柱は直径50センチ、長さ1・5〜2メートルの四角ないし六角柱となっています。
 玄武岩は黒色をした火山岩(溶岩)の一種です。地表に噴出して厚くなると普通、冷えるに従って縮み、垂直方向に割れ目(柱状節理)ができるものです。
 ところが、溶岩が地表に噴出しないで、岩石の割れ目に岩脈状に入り込んだ(貫入した)場合です。そうなると、既存の岩石との境が、溶岩が冷却される面となり、水平方向に割れ目ができ、横倒しの柱状ブロックができあがるのです。御熊はこの典型例で、既存の岩石が、比較的もろい凝灰角礫(れき)岩だったため、崩れて露出したのです。
 御熊神社の祭神は、江戸時代には柱大明神と呼ばれていたといいます。この神様は、ここの石を使って「おきのしま」まで一夜にして石橋を架けようとしましたが、アマンジャク(天(あま)の邪鬼(じゃく))に邪魔されて果たせなかったという伝説があります。社叢(しゃそう)は巨木の多いタブノキ―シラカシの照葉樹の極相林で薄暗く、参道に柱状の玄武岩が敷き詰められているので石橋の伝説にふさわしい雰囲気が漂っています。
 神社へは、御熊集落内を通る県道258号線脇の鳥取市指定文化財「御熊神社玄武岩柱状節理」の案内板を目印にすると便利でしょう。 (元鳥取地学会会長 山名巌)

朝日新聞デジタル2016年03月07日



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