『越前国官社考』には、この地は上代に天ノ平賀牧手嚴瓶を始めとして多くの陶器を造りした。その埴土の御事を祭って牧手神社と称したと記している。 |
伊勢神宮の古材を譲り受け柵に 福井県越前市深草2丁目の枚井手神社は、20年に一度の式年遷宮を執り行った伊勢神宮(三重県)から古材を譲り受け、このほど拝殿前に柵を作った。同神社の氏子総代は「大事に引き継いでいきたい」と話している。6月13日の例大祭で披露する。 式年遷宮は伊勢神宮の社殿を20年ごとに造り替え、神様に引っ越してもらう一連の祭事。飛鳥時代から続くとされる。2013年10月に内宮、外宮でそれぞれ、ご神体を新しい社殿に移す「遷御の儀」が営まれた。 枚井手神社は大化の改新以前の創立とされ、近くで陶土が採取されたことから陶土の神を祭っている。度々災害に遭い、現在の本殿、拝殿は1972年に改築された。しかし、拝殿前の柵がアルミ製の簡素なものしかなかったことから、氏子が伊勢神宮の古材を利用し新調することを発案。申請書を1年前に提出したところ、譲与が認められた。 昨年10月に氏子約30人がマイクロバスとトラックで伊勢神宮を訪れ、内宮の板垣に使われていたヒノキ材(幅0・3メートル、高さ0・2メートル、長さ4・4メートル)2本などを譲り受けた。 伊勢神宮によると、今回の遷宮で全国の95社に古材を譲与した。このうち県内は同神社を含め7社。これとは別に、復興を見据え、東日本大震災の被災県向けに一部の古材をストックしているという。 南越前町の大工に柵の作製を依頼し、今月17日に拝殿前に取り付けた。幅4・2メートル、高さ0・9メートルで、上から見るとコの字の形。柵の柱にはヒノキの正目がきれいに出ている。 氏子総代の内藤義勝さん(73)=越前市平出1丁目=と竹内憲一さん(68)=同市深草2丁目=は「すごく立派な木から取った材ということが分かる。いい柵ができた」と目を細める。 同総代の千秋利一さん(79)=同市平出1丁目=は「柵の設置が実現したのは、町内の皆さまの協力が大きかった。これを機会にお参りがさらに増えてほしいし、大事に引き継いでいきたい」と話している。 福井新聞2015年5月27日) |