葛木坐火雷神社(笛吹神社)
かつらきいますほのいかづちじんじゃ


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【由緒】

葛木坐火雷神社御由緒略記
南葛城郡忍海村笛吹字神山鎮座
一、祭神 火雷神及笛吹連の祖天香山命の二座なり
一、配祀神 高皇産霊尊 大日霊貴尊 瓊瓊杵尊 伊古比都幣命
当神社は元火雷神社と笛吹神社との二社なりしを延喜帝以前に合祀せられたり上古以来朝廷大事をと定せらる毎に笛吹神社より波波迦木を進献するを例とせり
火雷神は火産霊神とも火之迦具土神とも奉申り火を主宰し給ふ神にして此大神は宮中大膳職及伊勢神宮斎宮の菓餅所にて奉斎せらる御同神にして菓祖の大御神なり 天香山命は石凝姥命とも奉申り天照皇大神天岩屋戸に籠り坐せる時天香山の天波波迦木又竹を切り取り笛を造り吹鳴し亦金を堀り八咫鏡を鋳造し皇祖に奉り大御心を慰め奉りし神に坐して音楽及鉄工業の祖神にして此の御鏡を伊勢神宮の御神体と奉仰るものなり 高皇産霊神 大日霊貴尊  瓊瓊杵尊は皆皇祖の大神に坐し伊古比都幣命は御食都神にて所謂衣食住の神なり。
御鎮座は神代と云ひ神武天皇の御代と謂うと雖も詳ならず社家持田家の家譜に崇神天皇の御代の十年建埴安彦兵を挙げて帝都を襲はんとす仍て大彦命は笛吹連櫂子等を率ひ奈良山に於て安彦の軍と戦ひて和邇川の茂册に於て櫂子の射放ちたる矢は安彦の胸を射貫き之を斃す故に賊軍降て平定す依て櫂子の戦功を賞して天磐笛及笛吹連姓を給ふ其の夜天皇の御夢に此の磐笛を以て瓊瓊杵尊の神霊を祭れば国家安寧ならんことにより当社の相殿に奉祀せらるたると有れば崇神天皇御宇以前の古社にして地誌其の他の古書に笛吹神社とあるは所謂是也。
皇室の御尊崇最も厚かりし官幣大社にして延喜式に名神大月次相嘗新嘗と載せられ毎年数度の案上官幣に預り給ひし神社にて卜事に用ふる波波迦木を奉る等皇室との関係も亦深かりし事を拝察し奉り得るなり。
大正2年10月
奈良県

社頭掲示板



【由緒】

▼奈良県北葛城郡新庄町。旧郷社。『延喜式神名帳』には葛木坐火雷神社二座と見え、貞観元年(859)正三位勲二等を受ける。当社よりハハカの木を献納して亀トを行ったことが『袖中抄』により知られる。
火雷神・埴安姫命他四柱の神を祀る。当社の明細帳によれば、中世以後衰え笛吹山に鎮座する笛吹社の末社となっていたが、文禄年間(1592−96)に火災にあい、明治7年(1874)に笛吹神社に合祀し火雷神社と称した旨を記し、現在笛吹社とも称している。当社はもと神山に鎮座していたと考えられる。特殊神事は鎮火祭(1月15日)、御田植祭(2月11日)、鎮華(花)祭(4月19日)、夏越祭(7月17日)。例祭10月24、25日。

神社辞典



【郷社 葛木坐火雷神社】

祭神 葛木生火雷神 天香山命 天津彦火々瓊々杵命
相殿 大日霊貴尊 高皇産靈尊
本社創立年代詳ならす、火雷神は伊邪那美命の御体に成れる八つの雷神の一にましまし、天香山命は笛吹連の祖神なり(古事記姓氏録)崇神天皇10年笛吹連の祖先擢子の戦功を賞し、天磐笛を賜ひ、笛吹連の姓を賜りし時、其夜瓊々杵尊霊夢に現はれ神託ありたるを以て相殿に奉祀すといふ、(社伝)以て其古社たるを知るべし、然るに中世以後笛吹神社と称し、遂に本社とは別社の如く誤られ、大和志同名所図絵に笛吹明神の傍に在すと記せり、明治7年3月18日旧称に復し、葛木坐火雷神社と称するに至れり(神祇志料、社伝)清和天皇貞観元年甲申正三位勲二等葛木火雷神に從二位を授け(三代実録)醍醐天皇延喜の制名神大社に列り、忽海郡三座の一として祈年、月次、相嘗、新嘗の案上祭幣に預る(廷喜式)、又延喜式には「凡年中御卜料波波迦木皮者、仰大和國有封社令採進之とありて、宮主秘事口伝抄には波々賀木宮掌自大和国笛吹社請也」とあるにて、凡朝廷に事ある毎に本社より波々迦木を貢進しらることを知るべし、書記通証に云く、「古事記曰、天照大神、閉天石屋戸時、召天児屋命、取天香山之天婆々迦、而令占、奥儀抄曰、婆々迦木、取自笛吹社上之山、和名抄、朱櫻一名櫻桃、和名婆々迦一名邇波佐久良、今按婆々迦樺也、和名加波、又云加仁波、俗名犬櫻、一名南殿櫻是也、」と、明治6年郷社に列せられ、毎年9月24日祭を行ふ(奈良県神社取調書)
社殿は本殿、拝殿、神饌所、社務所、手水舎等を具備し、境内923坪(官有地第一種)、笛吹山にありて葛木山麓に位し、境内接続地五町歩に渉り、森々たる神苑實に千古の趣あり、又十五珊知米突攻城加農砲、及現参謀次長福島中将揮毫の戦捷紀念碑等を装置し、又境内梅櫻楓等の諸樹を栽培し、四時の眺あり、又仰いで東を望めば、南は大台ケ原山より起り、北は生駒志貴等の諸山延々たるあり、又近くは奈良一帯の平野を望み、畝火、耳無、香久、三輸山等の名蹟点在するを観、風致実に此地方に冠たり、又宝物として大同竹、横笛、(伝云、清和天皇寄進)、其他波々賀木御用令達五通等あり、又本社は基本財産千圓及山林数町歩(其価格数萬円)を有し、地方有数の大社たる資格を具備するに至れり。

明治神社誌料



【葛木坐火雷神社二座 並名神大月次相嘗新嘗】

葛木は加都良岐、」火雷は保乃伊加都知と訓べし、○祭神明か也○笛吹村笛吹明神の傍に在す、(大和志、同名所図会)
類社
山城國乙訓郡乙訓坐火雷神社の下見合すべし
神位
三代実録、貞観元年正月27旧甲申、奉授大和國正三位勲二等葛木火電神從二位、

神社覈録






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